Katari thé



正しさや合理性、効率、分かりやすさ。忙しなさの中でハッキリしていることが求められる社会にただ身を浸し生きていると、ひとは心の余裕と主体性を少しずつ喪失してしまいます。私自身、就職活動や課題が忙しく、何かをじっくり自らの感覚をもって味わうといった、豊かな時間をもつことができないと、自己肯定感の低下に繋がり、世界が徐々に色褪せて見えるようになります。これは私がいわゆるHSPと呼ばれる、繊細な気質の持ち主であるからでなく、多くの現代人が抱える悩みであり、ウェルビーイングやヒュッゲ、資本主義の限界などが取り上げられるようになったのはその証左だと思います。そこで私は生活の基本たる衣食住のうちの「食」に関連して、読むように味わう日本茶ブランド「Katari thé(かたりて)」を考えました。就活などで忙しかった私はある日、企業の実績研究で訪れたカフェで口にしたお茶に衝撃を受けました。色も味も香りも、とても一言では言い表せないほど、まるで物語のように複雑で、それをゆったり飲む間、私は久しく忘れていたとても豊かな心地を取り戻すことができました。日本茶は茶匠がある情景とそこで飲む人の姿を思い浮かべながら、合組(茶葉のブレンド)をします。そのような製造工程からして、単純なかたちで風味を述べることはできないはずなのです。今は多くの商品に当たり前のように〇〇味とラベルが貼られています。しかし、そのような分かりやすさから離れ、かけがえのない自分の感覚でモノに向き合う体験が今の時代にこそ必要で、それが自分を愛し、ひいてはその感想を伝え合う中で、他者が自分と異なる存在で、価値観の違いを楽しみ尊重すべき存在と認識する(他者を愛する)ことに繋がるのではないかと考えます。

上記から「茶のカタリに耳を澄まし、あなたの言葉で語る」をコンセプトに、語りにちなんでパッケージは本型にし、カラーは白黒はっきりつけない、曖昧さが魅力のグレー、フォントは墨のたまりが強すぎない明朝体・セリフ体を基調に用いました。観音開きのリーフレットは、販売されているパッケージの横で自由に手に取れるようにしたり、ポップアップ開催などでフライヤーの代わりに配布いたします。その他の告知手段として雑誌広告や、電車のドア横広告を展開いたします。また、Webサイトではコンセプトや商品の通販のほか、飲んだ人の「かたり」が交わる場となるようなコンテンツを用意し、そこで集まった感想から新たな商品パッケージが生まれるといった双方向のブランド運営を想定しております。




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